高尿酸血症について

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疾患についての解説

1.尿酸とは?

尿酸とは生化学的には「プリン代謝の最終産物」です。プリン体というのは人間の体の細胞それぞれの中の核酸(DNAやRNA)の構成成分として存在しています。人間の体の細胞は新陳代謝を繰り返していますが、そのサイクルの中で、核酸も分解され核酸を構成していたプリン体は最終的に尿酸という物質になります。

2.高尿酸血症とは?

高尿酸血症とは、血液中の尿酸値(血清尿酸値)は7.0mg/dL以下なら正常、これを超えると高尿酸血症と定義されます。男性に多く、高尿酸血症になると痛風になりやすいといわれています。

3.高尿酸血症の原因

尿酸値が高くなる直接的な原因は1.尿酸が多く作られすぎている、2.尿酸を排泄する能力が低下している、の二つです。1の原因としては、プリン代謝の障害や、食物などで体内へ取り込むプリン体の量が多いということがあります。2の原因としては尿酸を排泄する腎臓の機能低下があります。なぜこのようなことが起こるかはまだ明らかになってはいませんが、遺伝的な体質と生活習慣的な要因、特に肥満が大きく関与していることがわかっています。

高尿酸血症は圧倒的に男性に多く(痛風では95~99%)認められます。また、以前は50代が多かったのですが、最近では30代がピークになっており若年化が進んでいます。

尚、頻度は少ないですが生活習慣とは無関係に遺伝的なことのみで尿酸値が高くなることもあります。また、高血圧などの治療などに用いる利尿薬の副作用で高尿酸血症になることもあります。

4.痛風とは?

高尿酸血症を放置すると尿酸結晶が少しずつ大きくなり、この尿酸結晶に対して免役反応が起こることでその個所に炎症が引き起こされます。その結果局所的に赤く腫れて激しい痛みを自覚します。これが痛風発作です。発作時には消炎鎮痛薬などで症状を和らげます。また患部を冷やすと多少疼痛は抑えられます。尚、発作がおさまっても炎症が改善しただけで尿酸値が正常化したことを意味するものではありません。したがって、痛風発作の有無にかかわらず、高尿酸血症の継続治療が必要です。

5.高尿酸血症の主な合併症

高尿酸血症には痛風以外にも下記のような合併症があります。

(1)腎機能障害:尿酸結晶が腎臓内にたまり、腎機能低下を引き起こします。場合によっては人工透析が必要になることもあります。
(2)尿路結石:尿酸はアルカリ性で溶けやすく、酸性で溶けにくい物質です。尿酸値が高い人は尿の酸性度が高いことが多く、このため尿中でも尿酸は結晶化しやすいのです。腎臓内や尿管、膀胱、尿道などで結晶が固まって尿路結石ができやすくなります。
(3)動脈硬化:高尿酸血症の人は、高血圧、高脂血症、糖尿病などを合併しやすくなります。これらは動脈硬化の進行を速めることが知られています。

6.高尿酸血症の治療

痛風・高尿酸血症の治療は三つにわけて考えます。

まず痛風発作時には痛みをとること、これは前述したように消炎鎮痛薬などで対処します。
次に高尿酸血症を治療し痛風発作を防ぎ、同時に腎機能障害や尿路結石などの合併症の予防です。このためには日常生活習慣の改善(プリン体の多い食事を避けたり適度の運動を心掛けるなど)を前提に、場合によっては薬物治療(尿酸合成阻害薬や尿酸排泄促進薬など)を服用します。
最後に高尿酸血症の人が併発しやすい高血圧、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病の管理、治療を行って、動脈硬化による心臓病や脳血管障害を予防することです。

7.日常生活で気をつけることは?

(1)食事
食事で気をつけることは、まずプリン体のとりすぎに注意することです。プリン体を多く含む食物としてはいわしの干物、煮干、かつおぶし、鶏レバー、大正えび、あじ干物、豚、牛レバー、肉スープなどがあります。また大豆、かつお、たら、するめいかなどにも比較的多くのプリン体が含まれています。プリン体は煮ると煮汁に移るので、肉類は煮て料理し、煮汁は飲まないようにしてください。

アルコールのとりすぎにも注意してください。アルコール自体にも尿酸が含まれていること、アルコールが肝臓でプリン体の合成を促進することなどが知られています。

野菜類、海藻類、芋類を取り入れたバランスのよい食事を心掛けてください。

(2)減量、運動
減量は尿酸値を下げる効果がありますが、食事を極端に減らすとかえって尿酸値があがることもありますので、ゆっくりと減量することが必要です。運動は適度の運動が望ましく、激しい運動は逆効果です。激しい運動によって水分が失われて痛風発作を誘発することもあります。通風の人は運動前、運動中に十分水分を補って、ゆるやかな運動を行ってください。

 

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